(“戦国BASARA”より)

「戦国BASARA2 英雄外伝」の妄想が爆走している文章です。 そんなに過激ではありませんがBL表現があるかな(?)なので、 苦手な方はお気をつけください。 松永がぬめっていて、気持ち悪いです。 政宗様にまとわりつきます。 流血シーンもありますので、お気をつけください。 尚、こちらの文章はゲーム、会社等とは一切関係ございません。 (どうして、こんなことになっている?)  伊達政宗は自分に馬乗りになって、ぎりぎりと 首を締めつけてくる人物を見上げた。 「小・・・十郎」  絞り出すように、その男の名を呼ぶ。  だが、政宗の一番の家臣、というよりは時には 兄とも慕っている片倉小十郎は表情も動かさず、 政宗の首を締めつける手に益々力をこめてくる。 「情け・・・ねェ」  家臣と刀を取り戻すどころか、 小十郎まで守ることができなかった。  己の力不足に、歯噛みする。  先程まで政宗と小十郎は、松永久秀と対峙していた。  真田幸村と向かい合う時とは全く違う、 嫌な汗が政宗の背中を流れる。 「気にいらねェな」  松永は政宗の大切な家臣達を人質に、 彼から六振りの刀を奪った。  それだけでは足りずに、嘲笑いながら 政宗の身体に大きな傷を負わせたのだった。  翻弄されっぱなしの敵(かたき)を前にして、 小十郎の態度がおかしくなった。 彼の刀は政宗の兜を吹っ飛ばし、 その体を地面に叩きつけた。  足音が近づいて来る。  政宗に馬乗りになっている小十郎の 向こう側から、ひょいと顔を覗かせる松永。  実に愉快そうに目を細める。 「どういう気分かな? 自分が最も信頼している 人物に裏切られる、というのは」 「裏切り・・・だと?」  松永はにやりと笑って、顎をひと撫でした。 「どうせ、てめェが操って・・・ あの香炉と同じ・・・だろ」 「操る?ふむ、ちょっと違うな。 私は彼の欲望を、引き出してやっただけだ。 独眼竜の忠実なる僕(しもべ)の顔の下に 潜ませている本当の望みは・・・」  小十郎が、膝を政宗の脇腹あたりに喰い込ませる。 「がはっ!」  そこは松永によって傷を受けた場所だった。 「主の死・・・か」  松永が冷たく言い放つ。  と、政宗の首にかかっていた小十郎の手が緩められる。  さては正気に戻ったかと、焦りの 表情が松永の顔をちらりとよぎる。  小十郎は乱暴な手つきで、政宗の鎧を剥ぎ取った。  そして政宗の首筋に噛みついた。 「ひ・・・っ!」  不意の仕打ちに、政宗は息を呑んだ。  政宗の首筋に歯をたてて、その血を啜る小十郎。 「や・・・めろ、小十郎」  小十郎の舌の感触に、思わず 政宗は小十郎の腕にすがりつく。 松永が、体をふたつに折るようにして笑う。 「いや、失敬失敬。 あまりに面白い見世物なのでな。  この男は、竜を喰らい尽くしたいらしい」  小十郎の腕を掴んでいる政宗の手が、 彼を押しのけようとする。 「守られてきたのだろう、竜の右目に。  だったら、彼に好きなようにさせてやったらどうだ」 「駄目だ。 正気に戻った時、小十郎は自害してしまう。 それだけはさせねェ」 腕に力をこめて小十郎を引き剥がす。  体を押しやられた小十郎が、政宗の頬を打った。  政宗の心に、衝撃が走る。  彼が自分を殴る時は、自分の非を正す時のみ。  これは・・・これは違う。 (完全に欲望に囚われてしまったのか、小十郎)  小十郎の唇は、政宗の血で紅く染まっていた。  その姿は人というよりも、 肉食獣の雄のようで鳥肌が立つ。  更に小十郎は、鎧のなくなった政宗の 着物に手をかけ左右に引き裂いた。  雪国育ちのまぶしいほどの白い肌が露わになる。 「ほお」  松永が感嘆のため息を漏らす。 「鎧の下に、このような柔肌が隠れていたとは。  ぜひ」  松永は意味深長に言葉を切り、 「お相手、願いたいものだ」  と、ゆっくりと言葉を紡いだ。 「All right. いつでもいいぜ。  但し、人を使わなきゃ俺と喧嘩も できねェあんたじゃ、役不足だがな」  政宗が挑発する。  松永が鼻で哂う。 「高慢ちきな小僧め。 初めて他人に組み敷かれた気分はどうだ?  片倉小十郎、こやつに教えてやるがいい、 自分の上にも立つ人間がいることを」  小十郎が腰の刀をすらりと抜く。  刀を垂直に立て、政宗の白い胸を刺し貫こうとする。 「そうだ、その欲望のまま刃を竜の胸に沈めるのだ。  奥州を卿(けい)の手に掴むがよい」  松永が小十郎を誘導する。    氷のように冷たく光る刃が、微かに震えている。 「闘っているのか、小十郎。 松永に好きなように操られている己の心と」  小十郎に呼び掛ける政宗の声が、彼を労わっている。 「馬鹿な。  逆らえば、心が壊れるぞ」 「何っ!?」  松永の言葉に、政宗は焦る。  震えながら切っ先が降りてくる。  政宗の雪のような肌の上に、紅い血の川を作っていく。 「く・・・っ!」  自分の体の痛みだけではない。  小十郎の心の痛みまで、政宗は感じた。 「小十郎」  幼い頃から、何度この名を呼んだだろう。  何度、この名の男に頼っただろう。  政宗の右手が右目の眼帯に掛けられる。  するりと眼帯が外される。  見入っている小十郎。 「よく見ろ小十郎、おまえが俺に穿(うが)った闇だ」  小十郎の目が、大きく見開かれる。 「だがおまえは剣術を通して、 俺に光も見せてくれた、だろ?」 「・・・政・・・宗・・・さ・・・ま」  小十郎の目から溢れた雫が、 刃を伝って政宗の胸に落ちて来る。  温かい、小十郎の涙だ。 「相変わらず、涙もろいなあ」  小十郎の泣き顔に向かって、手を伸ばす政宗。  小十郎も導かれるかのように、 顔をその手に近づけて行く。  政宗の指が小十郎の頬に触れる。  その手にすがるように、小十郎が頬擦りをする。  鯉口を切る小さな音がした。 (松永のヤツ、感づいたか)  政宗はもう少し手を伸ばして、 小十郎の目を閉じてやる。 「眠れ、小十郎。  これはな、悪い夢だ」  小十郎の体が大きく揺れた。  政宗がふっと笑う。 「大丈夫だから。  落とし前は、俺がつける」 「ま・・・政宗様!」  小十郎が小さな叫び声を発して 政宗の脇に倒れこんだ時、 そこから青白い雷光がほとばしり出た。 舌打ちをし、松永が刀を抜く。 「MAGNUM!!」  松永は自分に向かって来た蒼い竜を、刀で止めた。 「お、重い」  政宗の得物(えもの)が 『六(りゅう)の刀』ではないとはいえ、 刀を合わせれば相応の衝撃を受ける。 「竜の強さは、刀の力だけではない・・・か。  その右目が闇に呑まれなければ、 無敵であったろうな」  ひらりと逃げる松永。 「ハンデがなきゃ、他の奴等に悪いだろ」 政宗が不敵な笑いを浮かべる。  だがそれもすぐに消し、 小十郎の刀をぐっと握りしめる。  ぐいと、挑戦的に松永に切っ先を向けた。 「返して貰うぜ、竜の爪も、家臣も」 「欲張りだな。 何一つ返す気はない。 特に、竜の右目の欲望は気に入った」 「てめェだけは、絶対に赦さねェ。  人の心、弄(もてあそ)びやがって」  政宗が松永に突進する。 「Go To Hell!」 「地獄へ行くのは、卿の方だ」  はっとなる政宗。  政宗の足下で爆発が起こる。  一瞬早く、政宗は地面を蹴って宙に逃げた。  そのまま松永に向かって、刀を振り下ろす。 「PHANTOM DIVE!」  刀を弾き飛ばされ、松永がよろめく。 「花火なら、空へ咲かせろよ」  「独眼竜、片倉小十郎が卿の元へ帰った としても、今まで通り側に置けるのか?」 「Ha−an?  何が言いたい?」 「あの男の本心を見てしまったのだろ?」  政宗にとって、胸糞悪い笑みを その顔に張りつかせる松永。 「忠実な家臣の仮面の下に どす黒く渦巻いている闇を、な」 「それがどうした?」  政宗の返答に、松永が怪訝な表情をする。 「小十郎は、この俺が横に立つことを 唯一許した男だぜ。  そのぐらいの野望がなけりゃ、な。  むしろ、天下を狙って欲しいもんだ」  政宗が小十郎の刀を構える。 「さあ、覚悟はいいか」  松永は口の端で笑うと、指を鳴らした。  松永が立っている場所で、爆発が起こる。  飛び退(すさ)る政宗。 「What?自爆だと?」  立ち上る炎と煙。 その中から人影が、飛び出して来る。 自分に向かって突き出された刃を、刀で止める政宗。 「こ、これは!?」  自分の命を狙ってきたのは 「六(りゅう)の刀」のうちの一振り。 「ふん、竜の爪、使いこなせるのか?松永さんよ」  政宗の刀を握りしめている松永。  鍔迫り合い−。 「器用な方なんでね」  そう言うと、松永が急に力を抜いて身をかわす。  政宗が体勢を立て直す一瞬の隙を突いて、 松永が政宗の腰に手を伸ばし引き寄せる。  互いの刃が、互いの首を狙う。  松永は政宗の腰を抱いたままだ。  政宗は自分の体に、ねっとりと蛇が 絡みついているようで気味が悪い。  松永の手が、ゆっくりと政宗の腰を愛撫する。  小十郎の刀が、松永を威嚇する。 「なるほど、竜の右目が守っているわけだ」  猶も、松永の手は蛇のように政宗の腰を這い回る。 「伊達・・・政宗」  そう呼び掛けてくる松永の声も、粘ついていた。  にいっと笑った松永の唇が、妙に赤く見える。 (しまった!また香炉か何か・・・)  と政宗が思った時には、手から力が抜けて 刀を取り落としそうになる。 「て、てめ・・・ェ」  声が出たのも、そこまで。  松永の握る政宗の刀が、 政宗の首から右目へと移動する。  前髪を刃の先でそっと持ち上げる。  眼帯は先程外して、小十郎の 元に置いてきてしまった。  政宗の左目が、松永を睨(ね)めつける。  松永は政宗の右目を、うっとりとした表情で眺めた。 「美しい闇だ」  松永の手に力が入り、政宗を抱き寄せる。  彼の右目に向かって、松永がぬらりと舌を伸ばした。 「汚ェ手で、その御方に触るんじゃねえ!!」    政宗と松永の間を、稲妻が駆け抜けた。  気がつくと松永の腕の中には 政宗の姿はなく、両手が燻(くすぶ)って 肉が焦げる臭いを発していた。  六(りゅう)の刀も消えていた。 「竜の右目の怒り・・・か」  がっくりとその場に膝をつく松永。  吐いた血が、乾いた地に滲み込んで行く。  松永にたぶらかされていた意識が はっきりすると、政宗は自分を 抱きかかえているその男を見上げた。 「戻ったか・・・小十郎」  案の定、強面(こわもて)の顔が歪んだ。 「泣くなよ」 「あなたは私の光・・・それを 自分の手で消してしまうところでした」  小十郎は地面にそっと政宗を降ろした。  そして懐から眼帯を取り出すと、政宗の後ろにまわる。 眼帯で、政宗の右目を覆った。 「政宗様、申し訳ありません」  小十郎は政宗の背中に向かって 土下座をし、額を地面にこすりつけた。  引き裂かれた着物。  白い胸につけられた痛々しい傷。  流れた赤い尊い血。  全て自分の所為(せい)だ。 「私の中に弱い心があった。  それを松永に見透かされた・・・この落とし前は」 「腹ァ切るなんて言うなよ。  俺はそんな見世物、見に来たんじゃねェ」  立ち上がる政宗。  小十郎に背中を向けたままだ。 「し、しかし」 小十郎も慌てて立ち上がる。 「もう何も言うな、小十郎」  肩越しに政宗が小十郎を見る。 「おまえの居場所はそこだ。  そこで、ずっと俺の背中を守れ」  ややあってから、返事をする小十郎。 「承知」  その声に涙が混じっていたようで、政宗は苦笑する。 「政宗様、これを」  小十郎が、松永が持っていた 六の刀の一振りを政宗に差し出す。 「ああ、竜の爪、全て取り返さなきゃな」 「はっ!」  二人が睨んだ方向には、松永が立っていた。  小十郎の攻撃から、立ち直ったようである。 「松永!Are you ready?」 「さあ、これを取りに来い!」  と、松永がこれ見よがしに、 政宗の残りの刀を地面に突き刺す。  政宗が刀を構える。 「小十郎、Partyの時間だぜ。 あいつを斃(たお)さなければ、俺達は前に進めない。  魔王にも甲斐の虎にも、追いつけやしねェ」  小十郎が政宗の隣に並び、刀を構える。 「Go!」  政宗が咆(ほ)える。  双竜はひとつの蒼い雷光となって、 松永に向かって斬り込んで行った。 (終) ※あとがき  妄想が時には迷走し無駄に爆走していたつたない文章を 最後まで読んでくださってありがとうございました。  お疲れ様でした。 SKIP